*「ロザリオシリーズ再録集no.2」サンプル*

※ロザリオシリーズの5−7までの再録です。
時間軸はバラバラですが、同一世界設定。
なお、ロザリオシリーズについてはシリーズ終了後、再録とは別に総集編を発行するかもしれませんので、ご注意下さい。
下のサンプルはシリーズ5作目、「救世主を孤独にする人」の冒頭になります。





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 桐青高校、外部グラウンド。六月を迎え、グラウンドを囲むように立ち並ぶ木立は、風の力を借りて濃厚な緑の香りを辺り一面に振り撒いていた。
 そんな折、東風に巻かれた砂が一瞬の暴れ馬となって空中に漂い、練習の終わったグラウンドを整備する球児たちを猛襲した。
 ようやく野球部に馴染んできた頃合を迎えた新入生達は口々に微かな悲鳴を上げ、腕や帽子で顔を拭う。風に慌てふためく新入生の様子を、特設されたベンチの付近で笑って、準太は目的の人物の隣に近づいた。
 深い緑色をしたベンチに浅く腰掛けた利央は、ひどく落胆した様子で項垂れていた。顔を覆う両手は日に焼けた球児らしくないほどに白く、血の気がない。
 準太が近づいたことにすら気付かない様子の利央の横に、彼はどっかりと腰を下ろした。そのまま、グラウンド整備を終えて四方に散らばる一年生達を見つめながら口を開く。
「……紅白戦にそんなに気合入れるなよ」
 正直、なんと声を掛けるべきか練習終了後からかなり迷っていた。
 ここのところ上り調子の準太とは反対に、利央の調子は優れなかった。特に、春大会以降からは今まで見たことがないほどプレイにキレがない。いつも自然にその存在がチームを鼓舞する利央がこんな様子だから、部全体になんとなく覇気がなくなって、監督も頭を抱えているところだった。





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